ぴくちゃあ通信

日本映画をメインにしたブログです。東宝映画を中心に古い作品から新しい作品まで、時には俳優を中心に話を展開します。

『愛河』(大映東京1958:田中重雄)

 ラピュタ阿佐ヶ谷にて『愛河』(大映東京1958:田中重雄)を見る。昭和の銀幕に輝くヒロイン[第50弾]叶順子の第1週。800円(会員)。
 恋愛と結婚は別と割り切っている化粧品会社美容部員・叶順子と、純潔は結婚するまでは守りたいというデパートガール・若尾文子。高校時代からの親友である二人の対照的な恋愛模様を、可もなく不可もなく手堅く描いている田中重雄。
 冒頭、海辺か河辺かでショートパンツ姿の美容部員10人が恋愛について語り合うシーンは、健康的な魅力に満ちあふれ、と同時に叶順子の爽やかなお色気をも強調していて、田中重雄にしては鮮やかな演出である。
 主演はあくまでも若尾文子である。トップクレジットは右端に若尾文子、真ん中よりやや左に恋人役の川口浩、左端に川口の先輩に扮した菅原謙二、2枚目のタイトルが川崎敬三、その次が叶順子だったか角梨枝子だったか三宅邦子だったか?3枚目に叶順子の恋人役・柴田吾郎の名前。叶順子も柴田吾郎もまだ新人扱いである。
 叶順子と柴田吾郎の恋愛は叶の妊娠・流産によって破局を迎えるが、新たに川崎敬三との恋愛がスタートする。
 一方、ヒロイン・若尾文子川口浩の間も紆余曲折ありながらも、こちらは主役なのでハッピーエンド。
 若尾文子川口浩との仲直りするために、純潔を捧げようと真新しい下着に着替えて家を出る。このシーンは、『また逢う日まで』(東宝1950:今井正)での久我美子を思い起こさせてくれてうれしい演出であった。
 叶順子、助演ではあるが、若尾文子の次を狙うスターとして、会社も本人も頑張っていたな、とわかる作品であった。
 満足、満足。