『化粧雪』(P.C.L.1940:石田民三)を、国立映画アーカイブ(NFAJ)・小ホールにて見る。10月4日より始まった「東宝の90年 モダンと革新の映画史(2)」の1本。再見。
『化粧雪』(75分・35mm・白黒)
成瀨巳喜男の原作を、東宝京都撮影所で実作の道を歩もうとしていた映画評論家の岸松雄が脚色。病気で降板した成瀨に代わり『夜の鳩』(1937)、『花ちりぬ』(1938)などで女性の描写に高い評価を得ていた石田民三が監督を務めた。客足もまばらな寄席を切り盛りする勝子(山田)の苦難に満ちた日々と、さびれた下町の趣が、当時「一流」と称賛された映像美で描き出される。
以上、NFAJの解説より。
父親は寝たきりの病気、兄は放蕩三昧で家を出たきり、弟は学校をやめて工場勤め。そんな苦しい状況の中で、父親の生きがいである寄席を切り盛りしている勝子。丸っきり客が来なくなっても、淡々と日常業務をこなしている。決して激することなく、ドラマチックな展開もなく、ほとんど夜のシーンのみが続くが、庶民の生活が丹念に描きこまれている。
クライマックスと言えば、昔の繋がりで人気講談師・貞山を招いて、あふれんばかりの客の歓声・拍手を聞きながら父親が亡くなるところ。ここだって、父親にすがりついて泣くわけでもなく、傍らに座っていて静かに泣くだけ。これが普通の家の臨終シーンだと言っているようである。
きめ細やかな描写が味わい深い作品である。
2022年10月9日(日)鑑賞
スタッフ
演 出 石田 民三
脚 色 岸 松雄
原 作 成瀬巳喜男
製 作 竹井 諒
撮 影 山崎 一雄
照 明 横井 總一
装 置 久保 一雄
音 楽 太田 忠
録 音 村山 絢二
編 集 井出 玉江
製作主任 関川 秀雄
演奏:P.C.L.管絃楽団
公開年月日:1940.02.14
スタンダード/白黒
上映時間:75分
製作:東宝映画・東京
配給:東宝映画
キャスト
山田五十鈴 喜楽亭の勝子(利三郎の娘)
汐見 洋 月岡利三郎(勝子の父、喜楽亭の経営者)
大川平八郎 勝子の兄・金之助
伊東 薫 勝子の弟・幸次
藤原 釜足 下足番の善さん
清川 虹子 善さんの女房
一龍齋貞山 本人
佐山 亮 丸竹の宇之吉(勝子の許婚者)
深見 泰三 丸竹の番頭
藤輪 欣司 医者
宮野 照子 八重子
三升 紋弥
三國 周三 平次
眞木 順 警官
冬木 京三 A
石川 冷 B
山田 長正
大崎時一郎
福地 悟朗 柳家昆太楼
榊田 敬治 工場の門衛
山形 凡平
中村 福松 芸人
伊東 洋
田中 利男
土屋 守
原 浩二
松島 信子
林 喜美子
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