以上、『月蝕』(日活1956:井上梅次)より
『月蝕』(日活1956:井上梅次)を、国立映画アーカイブ(NFAJ)長瀬記念ホール OZUにて見る。「月丘夢路 井上梅次 100年祭」特集の1本。310円。
月蝕(103分・BD・白黒)
ナイトクラブの殺人事件現場で、バンドマスターの和馬(三橋)が「あの女はもういない」と呟く。過去に受けた心の傷がもとで男性遍歴を重ねる綾子(月丘)は、男たちへの復讐に身を焦がし転落してゆく。月丘に「運命の女<ファム・ファタール>」を演じさせノワール調の雰囲気をもたらした井上は、本作を皮切りに石原裕次郎をスターダムに押し上げた。
(以上、国立映画アーカイブの解説より)
初見。
ナイトクラブ「ブルースカイ」で女が殺された。新聞記者・西村晃が三人の男たちに取材する。バンドマスター・三橋達也の回想に始まり、次が業界紙記者の金子信雄、そして会社社長・安部徹。手慣れた鮮やかな導入部。次第に女・月丘夢路の過去が明らかになっていく。と同時に三橋達也の過去も。
閉店後のブルースカイのカウンター、月丘の下半身の組んだ足を撮りながら、三橋がやってくるショット。カメラがアップして、カウンター中に入る三橋、カメラ手前に月丘、奥が三橋、カウンターを挟んでの会話。しゃれた構図であり、演出である。おなじみのウィスキーグラスをすべらすショットもある。
全体におとなの成熟した情感たっぷりのムードが漂っていて、十分楽しめた。
月丘夢路は2曲ぐらい唄うシーンがあるが、残念ながら吹き替え。『新雪』や『別れも愉し』では歌っていたが、今回の楽曲はブルース系(?)低音なので、吹き替え歌手を使ったのかな。三橋達也が唄うシーンもあったが、これは丸っきり声質が違っていて、すぐ吹き替えとわかるのは興ざめ。
ナイトクラブ、バンド、歌手、ショーダンサー、喧嘩、恋愛、これらの要素がつまった日活無国籍アクション映画の下地は、すべて井上梅次がつくったといっても過言ではない。
2023年11月10日(金)鑑賞
スタッフ
監 督 井上 梅次
脚 色 井上 梅次
〃 舛田 利雄
原 作 石原慎太郎
製 作 水の江滝子
撮 影 岩佐 一泉
美 術 松山 崇
音 楽 萩原 忠司
録 音 神谷 正和
照 明 藤林 甲
編 集 鈴木 晄
助監督 神代 辰巳
製作主任 亀井 欽一
スチール 斎藤 耕一
技 斗 阿部幸四郎
公開年月日:1956.12.19
上映時間:103分
モノクロ/スタンダード/35mm
製作会社:日活
配給:日活
キャスト
三橋 達也 田所和馬(バンドマスター、サックス)
月丘 夢路 池上綾子(歌手)
金子 信雄 武井(服飾業界紙の記者)
安部 徹 高崎(ボクシングジム社長)
石原裕次郎 松木(ウェルター級ボクサー)
岡田 眞澄 レオ・マリエル(フィリピン人のバンドマスター)
小林重四郎 刑事
藤代 鮎子 幸子(和馬の恋人)
中川 晴彦 片山政之(商事会社社長)
高野 由美 高間達子(服飾デザイナー)
東谷 暎子 高間礼子(達子の娘)
伊丹 慶治 和馬の父
三鈴恵以子 和馬の母
小柴 隆 和馬の兄
泉 桂子 和馬の妹
林 茂朗 和馬の学生時代
今村 弘 武井の学生時代
木下 伸一
天路 圭子 寿美恵(和馬の学生時代の恋人)
雪岡 純 池上晶三(綾子の義父)
高野誠二郎 「ブルースカイ」の支配人
山田美智子 ミリー平島
天本 英世 バンドの高林(シックスジョッキーズのコントラバス)
桐野 祥雄 シックスジョッキーズのドラム奏者
中原 啓七 シックスジョッキーズのギター奏者
柴田 新 バンドの竹本
二階堂郁夫 フィリッピンスターズの岩木
三栖 研一
河瀬 正敏 フィリッピンスターズのコンガ奏者
柳瀬 志郎 フィリッピンスターズのマラカス奏者
加納 桂 フィリッピンスターズのギター奏者
内藤 裕夫
大須賀更生 フィリッピンスターズのベース奏者
山崎 唯 「ブルースカイ」で弾き語りをするピアニスト
ロベルト・ニッケーノ フィリッピンスターズの男性歌手
ビクター・マン
西村 晃 新聞記者
浦島 久恵 綾子の友人恵子
青木 富夫 「ブルースカイ」のバーテン
永井 文夫 「ブルースカイ」表のボーイ
峰 三平 高崎ボクシングクラブのトレーナー
仲島 豊 高崎の社員
阿部幸四郎 レフェリー
小川 五郎 豊田八郎(全日本ウェルター級チャンピオン)
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